本日紹介する本は松永K三蔵氏著書の「バリ山行」です。
本書は第171回芥川賞受賞作で登山を題材とした純文学小説です。
純文学物の小説はあまり読まないのですが、題名のバリ山行という山行がどういった山行なのか、とても気になって購入した一冊です。
本書は建築会社で営業職を務め、とにかく仕事も登山も安全・安定重視の主人公波多と、仕事も山行も型にハマらず我が道を行くベテラン社員妻鹿の2人の対照的な性格が如実に描写されていて面白かったです!
波多のような安定思考型は夢やロマンはないものの必要最低限の成果の獲得、あるいは安定したステップアップが計れる考え方だと思います。
近年でもこの安定思考型の「年功主義」は多くの企業で採用されていて公務員に限らず、年功序列の社風がある民間企業は数多く見受けられます。
リストラの多い企業などでは企業の風通しに合わせた働き方が求めらる傾向があるので「いかに成果をあげるか」という観点より、「いかに失敗しないようにするか」の角の立たない無難な立ち回りが求められがちです。
特に今はこのご時世ですから、安定思考型の考えはとても世の中で浸透しやすい考えであるかなと思います。
一方で、妻鹿のように仕事も山行も独自のスタイルを貫く傍若無人型は、協調性に欠け自己中心的に見える一面もありますが、その型にハマらないリベラリズム的な考えや行動が時に人並み以上の成果をあげたり意外と物事の本質をついている場合もあります。
特に妻鹿の「やってみないとわからない精神」にはこれからの人生で何か挑戦をしてみようと思う人の後押しとなり、彼の人生観については賛否が別れるところではあるかと思いますが、私はすごく共感できる部分が多かったです。
本書は波多か妻鹿、どちらかの人間性に感情移入して読んでみるとより楽しめるかなと思います!
そして、本書の舞台となっている六甲山。
本書でも近代登山発祥の山であるという紹介があったのでいつか登ってみたいと思いました!
よく「山登りは人生だ」というセリフを聞くことがありますが、登山をしていると自分の人生観について考えさせられることがとても多いです。
いつか「山登り=人生」については自分なりの考えをブログに投稿させていただこうかと思いますが、そこに至るまでには、まだまだ学びたいことも多く、もう少し人生観の捉え方、あるいはこれからも色んな山に登山して自分の考えを実体化させていこうかなと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました!